「ケインズの予言」の当たりとはずれの理由

「ケインズの予言」の当たりとはずれの理由

飛躍的な経済成長を遂げても「基本的な生活欲求」が満たされないのはなぜか(イラスト:adam121 / PIXTA)

大恐慌さなかの1930年に、ケインズは「われわれの孫たちの経済的可能性」(John Maynard Keynes, “Economic Possibilities for our Grandchildren” (1930))というエッセイを書いている。

そこでは、先進諸国の生活水準は100年後には1930年当時の4〜8倍程度になっているはずで、1日に3時間も働けば生活に必要なものを得ることができるようになるだろうと予想していた。多くの人は、著しい経済発展を遂げた19世紀が終わった、生活は改善しなくなり英国は衰退する、と考えているが、「それは間違いだ」と述べている。

大恐慌のあおりで多くの人が日々の生活すらままならない中で、ケインズの予想を信じた人がどれだけいたか、わからないが、統計でみると、この予想は正しかったことが確認できる。

■GDPと実質消費は予想どおりに伸びた

アメリカの1人当たり実質GDP(国内総生産)は2018年には1930年の6.9倍になっている。1人当たりの実質消費は少し伸びが小さいが、6.2倍だ。

2030年までの残り12年間にこれまでの平均と同じ伸び率で増加していくとすれば、GDPは8.9倍になり、消費は7.9倍になる。100年後にあたる2030年の米国の1人当たり実質消費はケインズの予想の上限に近い数字になるだろう。

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