「がんを告知された人」がその後迎える心境変化

「がんを告知された人」がその後迎える心境変化

多くの人は衝撃的な出来事があっても立ち上がっていく(写真:KatarzynaBialasiewicz/iStock)

私たちは健康であるとき、自分が病気になることを想像もせずに暮らしています。

そして、「もし、がんになったら」と考えると、「そのとき自分は冷静でいられるだろうか」「死ぬのが怖くてどうしようもなくなるのではないか」と不安に思ったりします。

私は精神腫瘍医としてがんの専門病院に勤めています。一貫して、がんに罹患(りかん)された人とそのご家族の診療を担当しています。毎年お会いする人の数は200人以上で今まで3500人以上の方のお話を伺ってきました。

中には非常に厳しい病状の方々もいらっしゃり、経験が浅かった頃は「自分だったらその状況は絶対に耐えられないだろうし、もしかしたらその人の精神は崩壊してしまうのではないか」と悲観的な想像をしていました。以前は、そのような方々にどのように声をかけたらよいのかわからず、戸惑ってばかりでした。

■喪失の裏側で現実と向き合うプロセスが始まっていた

ですが、患者さんを見ていると、私の悲観的な想像はしばしば裏切られます。拙著『もしも一年後、この世にいないとしたら。』でも触れていますが、苦しみが簡単なものだというつもりは決してありませんが、少なくとも「その人の精神が崩壊した」と私が思ったことはありませんでした。

確かに、がん告知直後は思考停止になったり、病気になったことから目を背ける方向に心が動いたりすることが多いです。

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