ユヴァル・ノア・ハラリが見通す「雇用の未来」
2019年11月19日 08時20分 東洋経済オンライン
『サピエンス全史』が日本国内90万部、第2作の『ホモ・デウス』が同37万部となり、世界では著作の累計部数が2000万部を超える社会現象となっているユヴァル・ノア・ハラリ。
最新の第3作『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』(以下、『21Lessons』)では、「現在」に焦点を当て、自由、平等、コミュニティー、ナショナリズム、テロ、戦争、ポスト・トゥルース、教育、人生の意味など、われわれ人類が直面している21の重要課題を取り上げている。
さまざまなトピックの中でも特に興味をそそられるのは、AIがこのまま進歩すると私たちの仕事はどうなるのかという点である。ハラリはどのように論じているか。
新著の「雇用」の章から、一部を抜粋してお届けする。
芸術から医療まで、あらゆる分野における多くの伝統的な職がなくなっても、人間ができる新しい仕事が創出されれば、ある程度までは埋め合わされる。主に既知の病気を診断し、おなじみの治療をしている一般開業医は、おそらくAI医師に取って代わられるだろう。
だが、まさにそのおかげで、人間の医師や実験助手に革新的な研究をしてもらって、新しい薬や手術法を開発するために、はるかに多くの資金を回すことができる。
■AIによってむしろ人員不足という皮肉な危機
AIは別の形でも人間の新しい仕事の創出を後押しできるかもしれない。