なぜ人々は税や社会保障に不満を感じるのか

なぜ人々は税や社会保障に不満を感じるのか

老後や収入について不安に思っている人が増えています(写真:haku / PIXTA)

なぜ、国民の大多数が税や社会保障に不満を感じるのか。近著『いまこそ税と社会保障の話をしよう!』を上梓した気鋭の財政学者・井手英策氏が不満の正体について説く。

■僕らは確実に貧しくなった

平成が終わった。メディアの人たちからは「平成はどんな時代だったんでしょう」と何度も聞かれた。平成元年の僕はまだ17歳。振り返るほどの記憶や語りたいほどの体験があるわけじゃない。でも、頭に浮かんだのは「平成の貧乏物語」ということばだった。

平成を経済面からみれば、まさに停滞の31年だった。この間に共稼ぎ世帯の数は約6割増え、夫婦共稼ぎ世帯数は専業主婦世帯数の倍以上になった。それなのに、勤労者世帯の収入は平成9(1997)年で頭打ちになり、22年経った現在でもその水準を超えられていない。

雇用の非正規化も進んだ。世帯収入300万円未満の世帯割合は31%、400万円未満の世帯割合は45%になった。平成に入ってしばらくはこの割合は減っていた。だが現在では、平成元年とほとんど同じ水準に戻ってしまった。

日本は国際的に見て、税や社会保険料の負担が低い。その裏返しで貯蓄率はイタリアと並んで先進国最高レベルだったが、現在ではその面影すらない。

国民経済計算によると家計貯蓄率は2%強であり、金融広報中央委員会の調査では、2人以上世帯の3割、単身世帯の5割が「貯蓄なし」と回答している。

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