1人で組合に加入した59歳男性が受けた仕打ち

1人で組合に加入した59歳男性が受けた仕打ち

59歳男性が会社の仕打ち告発

1人で組合に加入した59歳男性が受けた仕打ち

今から10年ほど前、有本ケンジさんは、病院のリネンサプライ業務を請け負う会社の契約社員として働いていたが、待遇は最悪だったという(筆者撮影)

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。

■定時に帰ったことは1度もない

「ああ、あなたが有本さんですか」。何気ないあいさつに、はらわたが煮えくり返る思いがした。

今から10年ほど前。有本ケンジさん(仮名、59歳)は、病院のリネンサプライ業務を請け負う会社の契約社員として働いていた。時給は最低賃金レベル、休憩も取れない、残業代は出ないなど、待遇は最悪。勤続5年を機に、地域ユニオンに加入し、会社と団体交渉を行うことにした。

「あなたが――」発言は、第1回目の団交で、会社幹部たちが初対面のケンジさんにかけた言葉である。会社幹部が社員1人ひとりの顔まで覚えるのは難しかろうと、頭ではわかっていたが、「俺はてめえらのために、飯も食わねぇで働いてんのに、てめぇらは俺の顔も知らねえのかと思うと、頭にきちゃってねえ」とケンジさんは言う。

ケンジさんの職場は、東京都内にある大規模病院だった。社員十数人のうち、1人は男性正社員の上司、そのほかは女性のパート労働者。仕事は、シーツやタオル類などを回収し、外部の洗濯工場に搬出したり、院内の設備で洗濯したりすることだった。

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