なぜ「資本主義」は輝きを失ってしまったのか

なぜ「資本主義」は輝きを失ってしまったのか

ノーベル経済学賞受賞経済学者のポール・クルーグマンもスティグリッツを「とてつもなく偉大な経済学者」と賞賛している(撮影:尾形文繁)

私たちは、かつてないほど格差が拡大した世界に暮らしている。ごく一部の富裕層が富を独占し、政治を牛耳っている。中流の暮らしは崩壊しつつあり、人々は怒りを感じ、将来に対する不安にさいなまれている。では、どうしてこんなことになってしまったのか? そして、この進路はどうすれば変えられるのか?

ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・E・スティグリッツは、経済を強化しながら、その利益を公平に分配することは可能だという。今回、『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』から、現代社会が直面する課題とその解決策に対するスティグリッツの考え方を、一部抜粋してお届けする。

■高校の同窓会で思い知らされた格差の存在

私は、ミシガン湖の南岸にあるインディアナ州ゲイリーで生まれ育った。その頃は、資本主義の黄金時代だった。ただし、黄金時代だと気づいたのは後になってからだ。当時は、さほど黄金時代には見えなかった。

ひどい人種差別があり、格差があり、労働争議があり、時折不況があったからだ。同級生の生活にも街の様子にも、その影響がはっきりと表れていた。

ゲイリーは、アメリカの工業化と脱工業化の歴史をそのままたどった。1906年に、当時世界最大の総合製鉄会社USスチールの工場の敷地として建設され、同社の創業者兼会長だったエルバート・H・ゲイリーにちなんで名付けられた。

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