韓国の街並みに見えた「青年失業地獄」の断面

韓国の街並みに見えた「青年失業地獄」の断面

つねに激烈な競争にさらされている韓国の若者たち。彼らの本音とは(写真:ロイター/アフロ)

2019年夏、韓国社会は文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近で、法相に任命された曹国 (チョ・グク)氏をめぐる汚職事件で大いに揺れました。中でも、とくに若者の関心を集めたのが曹国氏の娘が韓国の名門大学である、高麗(コリョ)大学に入学する際に起こした不正行為疑惑です。大学入試から就職先までつねに激烈な競争にさらされている若者たちからは、多くの怒りの声が聞こえてきました。朝日新聞編集委員の牧野愛博氏の著書『韓国を支配する「空気」の研究』を抜粋・再構成し、韓国社会に生きる若者たちの本音に迫ります。

私が韓国・ソウルに駐在していたころ、日本から来た知人が出すリクエストは大体、「観光ガイドに載っていない場所に行ってみたい」というものだった。私が連れていく食堂は大体決まっていて、海産物なら鷺梁津水産市場、肉類ならコプチャン(ホルモン)食堂だった。

でも、この2つもだんだん、観光ガイドやテレビ番組で取り上げられるようになって、知り合いから「もう行った」「聞いたことがある」と言われ、あまり通用しなくなった。飲食業やレジャー産業が日本のように発達していないのだ。あってもスターバックスなどの外資が目立つ。ソウル随一の観光名所の景福宮も史跡が残るだけで、京都や奈良のような付随する商店街は存在しない。

きっと、娯楽などを職業にすることへのためらいが、韓国の人々にはまだあるのだろう。

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