タブー恐れず忖度しない「攻めるテレビ」の期待

タブー恐れず忖度しない「攻めるテレビ」の期待

バリアフリー・バラエティーが問いかけるのは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)

人種的偏見を拡大する放送がダメなことは、放送局で働く人間なら百も承知のはず……なのにNHK「これでわかった!世界のいま」(6月7日放送回)で、米国の黒人差別をわかりやすく伝えようと作成した「怒る黒人」の解説アニメが人種差別と批判を浴びて炎上、NHKは全面謝罪した。

この問題はなぜ起きたのか? 筆者はニュースを解説する報道番組だったことが背景にあると見ている。多くの報道番組は、VTR後にキャスターらが「正しいこと」を短めにコメントするだけのスタイルがほとんどだ。要は一方通行で、双方向の議論はない。「どのように考えるべきなのか」や「ほかにどんな考え方があるのか」について十分に時間をかけて話し合い、視聴者に考えさせるような過程がない。考えない→思考停止→想像力の欠如。それが制作者側にも広がっている背景なのだと思う。

「なぜなのか?」を考えず、結論だけつまみ食いして済ませようとする思考停止。前向きな結論をと、予定調和ばかり優先させる番組づくり。こうした安直な作業を繰り返してきたツケで、どういう表現ならば差別や偏見につながらないのかというデリケートな問題を考えられなかったのではないか。もしも「世界のいま」の番組スタッフが2月にNHK Eテレが放送した「バリバラ〜障害者情報バラエティー〜」(以下、「バリバラ」と記す)の「BLACK IN BURAKU」を見て差別について思いをはせたなら、格差にあえぐ黒人をマッチョで暴力的なキャラとして描く表現を避けられたはずだと、筆者は思う。

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