「正しい医療情報に拘る人」がわかってない本質

「正しい医療情報に拘る人」がわかってない本質

新型コロナ禍で注目度高まる「医療情報」の伝え方の本質に迫ります(写真:Udom Pinyo/iStock)

新型コロナ禍によって「医療情報」への社会的関心は高まるばかりだ。医学部出身で医療ジャーナリストとしての顔も持つNHKの市川ディレクターに、医療情報の持つ本質について記してもらった。

■ 「正しいだけの医療情報」は時に逆効果

「正しい医療情報を伝える」ことが、 新型コロナ禍のなかでメディアが果たすべき最大の使命である──この主張に対し、異論を持つ人は少ないかもしれない。しかし、筆者はあえて疑問を投げかける。

「正しい」とはどういうことか? そして、それを伝えることだけを最大の使命としていいのか?

そもそも「正しい医療情報」を伝えていれば、人々の行動は適切に変わりうるのだろうか。2014年、アメリカ・ダートマス大学の研究チームは、ワクチンに対する情報提供と接種意欲の関係について検討した(* Pediatrics. 2014 Apr;133(4):e835-42)。子どもを持つ親1759人をランダムに5群に分け、MMR(三種混合)ワクチンに関してどのような情報を提供すれば、接種への意識が向上するか調べた。

@ワクチンと自閉症の関係を否定するデータを示す
Aワクチンで防げる感染症のデータを示す
B感染症で重症化した子をもつ親の「語り」を聞かせる
C感染症にかかった子どもの写真を見せる
Dワクチンとは関係のない情報を聞かせる(対照群)

結果は「すべて効果なし」だった。

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