北陸新幹線「2023年春開業」は無謀な計画だった
2020年11月14日 06時50分 東洋経済オンライン
2023年春の敦賀延伸を目指す北陸新幹線の工事が、計画より1年半遅れ、工事費も2880億円増加していることが、11月11日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム会合で明らかになった。国は検証委員会を設け、工期短縮と事業費圧縮の対策について12月上旬までに中間報告をまとめる。
沿線に当惑が広がる中、特に先行きが懸念されるのが福井駅周辺の再開発事業だ。北陸新幹線開業を目標に、27階建ての高層ホテルなどが建設される計画で、駅前の区画は10月、既存の建物の解体が始まったばかり。開業に合わせた観光施策にとどまらず、中長期的なまちづくりを視野に入れた、施策や市民意識の再起動がカギを握る。
■トンネル工事などに遅れ
工事の遅れと費用増加の要因は、絡まり合って多岐にわたる。石川・福井県境の加賀トンネルで路盤と地下水が反応、トンネル底部が押し上げられ、対策工事が必要になった。また、敦賀駅の新幹線高架下に在来線を乗り入れるため構造が複雑化し、工事が思うに任せず、資機材や作業員が不足。さらに用地買収が遅れて工事が2019年度に集中し、入札の不調や不落が頻発した。これらによる工事の遅れを取り戻そうと、広域から作業員を集め、夜間や冬季にも工事を行って、さらにコストが積み上がった。
工事の遅れは、2カ月足らずの間に表面化した。