安倍前首相、「桜」疑惑はなぜいま再燃したのか
2020年11月28日 06時50分 東洋経済オンライン
11月下旬の3連休のさなか、安倍晋三前首相の「桜を見る会」疑惑について、降ってわいたかのように新たな報道が飛び出した。疑惑の核心とされてきた前夜祭での安倍氏側の経費補填について、「東京地検特捜部が捜査中」というのだ。
2019年11月に共産党が国会で問題を追及して表面化して以来、安倍氏は、@事務所が会費を参加者から集金してそのままホテル側に渡したA後援会への収支は一切なく、政治資金収支報告書への記載は必要ないB明細書の発行はなかった、などと答弁し、公職選挙法と政治資金規正法にはともに違反していないと主張し続けてきた。
当時官房長官だった菅義偉首相も、安倍氏と同様の答弁で野党側の追及をかわしてきた。
■長きにわたる虚偽答弁か
これに対し、全国の弁護士らは安倍氏と後援会幹部3人について、2020年5月に東京地検に公選法と政治資金規正法違反であるとの告発状を提出。同地検はこれまで動きがなかったが、読売新聞が23日、安倍事務所の担当者らから同地検特捜部が任意の事情聴取を始め、「安倍事務所が5年間で800万円以上の経費補填」などと報じたことで政界が大揺れとなった。
報道が事実なら、安倍氏は在任中、国会で長期間にわたり虚偽答弁を繰り返してきたことになる。政治的・道義的責任は免れず、刑事事件として立件されれば安倍氏の政治生命にも大きな影響を及ぼす。