「バイデン政権」で警戒すべき経済リスクとは
2020年12月08日 09時00分 東洋経済オンライン
アメリカ大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は次期財務長官に前FRB(連邦準備制度理事会)議長のイエレン氏を指名するなど、経済政策の面でも政権移行準備を急いでいる。
一方、政策実現のうえで重要な意味を持つ連邦議会選において民主党は、下院で過半数を維持したものの、上院の最終結果は1月5日に行われるジョージア州での決選投票を待つ形となっており、上下院の多数党が異なる「ねじれ議会」が続く可能性は残ったままだ。
選挙結果を否定し続けるトランプ大統領の動静を含めて不透明感はなお残るが、バイデン新政権が発足した場合、金融市場や経済にはどのようなリスクがあるのか。元日本銀行審議委員で国際経済学が専門の白井さゆり・慶応義塾大学教授に聞いた。
■気候変動対策がシェール産業へ打撃
白井氏は、バイデン氏の公約した政策がある程度実現した場合に金融市場や経済に与えるリスクに関し、主に4つの注目点を挙げる。
第1には、バイデン氏が目玉の政策に掲げる気候変動対策が、アメリカのシェール産業や世界の石油価格に与えるリスクだ。
バイデン氏は2050年までに国内の温暖化ガス排出を実質ゼロにすると公約している。と同時に、2035年までに電力部門の温暖化ガス排出を実質ゼロにすると言っている。