民主主義の危機に社会保障が重要視される理由

民主主義の危機に社会保障が重要視される理由

社会保障と民主主義は、実はとても深いところでつながっています(写真:John Kevin/iStock)

民主主義の危機が叫ばれるなか、分厚い中間層を守り、格差・分断を断ち切るために社会保障はどうあるべきか。厚労省年金局長など要職を歴任した香取照幸氏の近著『民主主義のための社会保障』から一部を抜粋し、経済成長と民主主義を結び付ける「社会保障」の重要性について説く。

■民主主義と社会保障は不可分の関係

社会保障と民主主義、どこでどうつながるのか、と皆さん思われるかもしれませんが、実はとても深いところでつながっている。私はそう確信しています。

物事なんでもそうですが、民主主義も「制度」をつくっただけでは機能しません。民主主義が機能するためには社会が一定の「発展段階」に達していること、つまりは民主主義の中核を担う安定的な中間階層が形成されていることが必要です。

そして、分厚い中間所得層を形成するには一定の経済成長=豊かさが必要であり、持続的に社会を発展させるには、その原動力である市民1人ひとりの活力、自己実現を保障すること、つまりはそれを生み出す「市民的自由の保障」が不可欠です。

つまり、経済成長と民主主義はいわば相互に支え合う車の両輪のような関係にある、ということです。そして、その両者を結び付けているのが社会保障なのです。

成長の果実を公平・公正に分配することで形成される「中間層」が社会の安定をもたらし、民主主義を支え、そのことが経済社会のさらなる発展を支える。

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