イチローの「幸せな2カ月」に凝縮された17年間の轍

イチローの「幸せな2カ月」に凝縮された17年間の轍

2018年MLB開幕戦、シアトルファンから大歓声で迎えられ、打席に入るイチロー(AP Photo/Elaine Thompson)

イチローのプレーが見られなくなってから1カ月半になろうとしている。

 大リーグ出場が可能となる登録選手枠から外れ「会長付特別補佐に就任」がマリナーズ球団から発表されたのは5月3日のこと。今季はプレーしないことになったものの、球団との取り決めでチームに帯同。試合前の全体練習に参加する日々を送っている。

 電撃的な発表があってから2週間が過ぎた日だった。本拠地セーフコ・フィールドで打撃練習の際に外野でボールを追っているイチローに、守護神ディアスが近づいた。ときおりジェスチャーを交えるイチローにうなずき聞き入るディアス。遠目からも真剣な表情が見て取れた。

 打者ではなく、投手がアドバイスを求める希少な光景には、イチローの存在がいかにチームにとって貴重であるかを物語っている。

 6月4日には早出特打の野手を相手に打撃投手デビューを果たしたイチローは、3月7日の古巣復帰会見で言った。

 「僕が培ってきたすべてをこのチームに捧げたい」

 大リーグ18年目に挑みながらもシーズン序盤でプレーを断念。しかし、チームに合流してからの日々はイチローにとって深く心に刻まれたかけがえのない時間だった。

 「(入団が)決まってから2カ月弱ぐらいの時間でしたけど、この時間は僕の18年の中で最も幸せな2カ月であったと思います」

 至福を感じた2カ月とは――。

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