習近平が少年時代に見た「中国の夢」とは?

習近平が少年時代に見た「中国の夢」とは?

中国で1950年代に出版された児童書(写真:筆者提供)

習近平国家主席を頂点とする現在の共産党政権中枢が幼少期を送った1950年代に出版された児童向け書籍から、当時の共産党政権が育て上げようとしていた“理想の小国民像”を考えてみたい。それというのも“三つ子の魂百までも”の譬えに示されるように、政治の中枢に立った現在の彼らの振る舞いの芽は、彼らの幼い頃に植えられたのではないかと考えるからだ。(⇒前回から読む)

 毛沢東が党や国家を超越した絶対的権力を掌握するキッカケとなった反右派闘争が発動された2カ月後の1957年8月に出版された『美麗的樹葉(美しい木の葉)』(児童文芸叢書編集委員会主編 中国少年出版社)に収められた一編の詩は、子供たちに「毛主席」にどのように報いるべきかを教える。そこに、文革時代に言い古された「海よりも深く、山よりも高い毛主席の御恩」の萌芽を読み取ることができる。

 この時代から文化大革命の終わる70年代後半まで――建国直後に生まれた習近平世代からすれば乳幼児から児童・少年期を経て青年前期までの人間形成期全般にわたって――毛沢東は「偉大的領袖毛主席」であり、毛沢東思想は「百戦百勝」と形容され絶対無謬であることを徹底して刷り込まれたのだ。

 ここで毛沢東の権威が確立させる前後の冷戦時代における中国を巡る内外状況――といっても主には中ソ関係だが――を簡単に振り返っておきたい。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)