クリケットの元スター選手はパキスタンに変化を起こせるか

クリケットの元スター選手はパキスタンに変化を起こせるか

(cosveta/designscroller/iStock)

7月25日のパキスタン議会下院の選挙では、クリケットの元スター選手のイムラン・カーン率いるPTI(パキスタン正義運動)が第1党となり、政権交替の見通しとなった。PTIは8月6日、同氏を正式に首相候補に指名した。

 イムラン・カーンはパキスタンの既存の政治の枠組みを打破し、腐敗の温床であるパトロネッジ(patronage)のネットワークを終わらせることを掲げて選挙を戦った。これは彼が20年前に政界に飛び込んで以来の政治的スローガンに他ならない。彼が率いるPTI(パキスタン正義運動)はシャリフ一族およびブット一族の政党を圧倒して第一党となり、政権を担当することを確実にした。それは、彼の執念と政治的習熟の賜物でもあろう。カリスマ性のある指導者の登場は、いやが上にも変化への期待を高めようが、それを実現出来るかは別問題である。

 他方で、彼の成功には暗い影がつきまとう。パキスタンの政治は常に背後で軍が糸を引いて来たが、今回の選挙ほど軍とその情報機関ISIが図々しく介入したことはないといわれている。軍はPTIがメディアへの特別のアクセスを得られるよう工作した。資金的にPTIを支援した。著名なジャーナリストにPTIを支援するよう圧力をかけた。他党から当選可能な人物のPTIへの鞍替えを工作した。投票所の管理にも軍が関与したという。従って、選挙は正統性の問題を免れない。

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