京都を代表する老舗フレンチ!皇族や世界の国賓をもてなしてきた名店の伝統と挑戦

京都を代表する老舗フレンチ!皇族や世界の国賓をもてなしてきた名店の伝統と挑戦

自慢のデミグラスソースで煮込んだ特撰牛。料理は月替わりのコースのみで夜は10,000円と15,000円(税・サ別)

文豪・谷崎潤一郎は明治45年(1912)、大阪毎日新聞から原稿執筆の依頼を受けて、京都に向かった。

 そうして書き上げた『朱雀(すざく)日記』に、魅力的なフランス料理店として登場するのが「萬養軒(まんようけん)」。初めて京都の地を踏み同紙京都支局を訪れた谷崎を、春秋(はるあき)という人物が昼食に誘うシーンだ。以下、同書より抜粋する。

 案内されたのは、麩屋町(ふやちょう)の佛國(ふっこく)料理萬養軒と云ふ洋食屋である。近來(きんらい)京都の洋食は一時に發達(はったつ)して、カツフエ・パウリスタの支店までが出來(でき)たさうな。此處(ここ)の家もつい此の頃、醫者(いしゃ)の住居を其(そ)れらしく直して開業したのだが、中々評判がいゝと云ふ。矢張(やは)り日本造りの、疊(たたみ)の上へ敷物を布(し)いて、テーブルや椅子が置いてある。5坪程の奧庭に青苔が一面に生えて、石燈籠の古色蒼然たる風情など、洋食屋には少々勿體(もったい)ない。

 京都の洋食事情、さらには「萬養軒」の内装や雰囲気もうかがえて興味深い。

 「開業したのは、明治37年。京都初の西洋料理店です。アメリカに住んだ経験のある伊谷市郎兵衞(いたにいちろべえ)が、京都の方々にフランス料理を召し上がっていただきたいと開いた、と聞いております。場所は麩屋町の錦小路を上がったところでした」

 と、4代目店主の伊谷快児(かいじ)さん。

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