ドイツの核保有議論、向こう見ずである「3つの理由」

ドイツの核保有議論、向こう見ずである「3つの理由」

(SiberianArt/leonello/_Runis_/kloromanam/iStock)

ドイツでは最近、NATOやドイツを軽視したり威圧したりするようなトランプの多くの発言を受け、核保有についての議論が目立つようになって来た。そうした中、ヴォルフガング・イッシンガー元駐米ドイツ大使は、ドイツの核保有に反対する論説をProject Syndicateに寄稿、8月8日付けで掲載されている。論説の概要は以下の通り。

 ドイツの核保有の支持者は、トランプの発言のせいでNATOの核の傘の信頼性は全く失われた、と主張するが、ドイツにとり核保有の選択肢が向こう見ずである3つの大きな理由がある。

 第一に、ドイツは、1969年の核不拡散条約署名(後に批准)、1990年の2プラス4条約(注:東西ドイツ統一に向けた、両独と米ソ英仏間の条約)など、繰り返し核兵器を拒絶してきた。こうしたコミットメントに疑いを抱かせることは、ドイツの名声と信頼性を深刻に傷つける。NATOの核の傘、ひいてはNATO同盟自体、核不拡散体制全体への信頼性にも疑問を投げかけることになる。

 第二に、ドイツが核を保有すれば、欧州の安全保障環境にダメージを与え、ドイツにとりマイナスとなる。ロシアは、ドイツの核兵器獲得への動きを同国への直接的な脅威と解釈し、軍事的対抗措置を執るだろう。独仏間を含む、欧州内のパワーバランスを変え、EUの長期的な調和に重大な結果をもたらすことにもなろう。

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