米国の制裁、ロシアに打つ手はほとんどなし?

米国の制裁、ロシアに打つ手はほとんどなし?

(yod67/12ee12/iStock)

8月8日、米国務省は、今年3月に英ソールズベリーで起きた神経ガス「ノビチョク」による元ロシアスパイ父娘に対する暗殺未遂事件を受けて、生物化学兵器法(CBW Act、正式にはChemical and Biological Weapons Control and Warfare Elimination Act)の規定に基づき、ロシアに対し制裁を発動することを公表した。米国はロシアがこの事件で「化学兵器または生物兵器を国際法に違反して使用した」ことを認定し、これがCBW法に基づく制裁の引き金を引いたということである。原則として「国家安全保障にとって機微な物品あるいは技術」のロシアへの輸出が禁止となる。若干の例外は設けられており、ロシアと協力関係にある宇宙開発関連の機材や技術がその例のようである。

 この法律によれば、90日以内にロシアが今後生物化学兵器を使用しないことを保証する、あるいはロシアがそのことを保証するために現場査察を認めるといった一定の基準を充たさない場合には、より厳格な第二段階の制裁措置に移行するとされている。第二段階は、対ロシア融資の禁止、対ロシア輸出入の禁止、ロシア航空機の米国乗り入れ禁止、外交関係の格下げなどが含まれ得る。ロシアは事件への関与を全面的に否定しているわけであるから、この種の基準が充たされる筈もなく、第二段階への移行は必定である。この法律は行政府の裁量権を多くは認めておらず、ホワイトハウスはこの制裁に躊躇したが、下院外交委員会のロイス委員長(共和党)が推進したものだとの報道がある。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)