2020米大統領選“台風の目”はベト・オルークか

まず、その経歴から見ていこう。

 1972年、テキサス州エルパソ市でアイルランド系一家の4世として生まれる。その後、エルパソ高校をへて、ニューヨークのコロンビア大学在学中に友人とともにボーカル・バンドを結成、一時は全米各地、カナダでも公演するなど、人気を集めたこともある。

 卒業後は、住み込み介護、インターネット・プロバイダーの技術スタッフ、大手出版社の校閲担当などいくつかの都市で職を転々とした後、郷里エルパソに戻り、妻とともにコンピューター・ソフト会社を設立、この間、オンライン新聞も立ち上げるなど、地味ながらもビジネス面である程度の成功を収めた。

 21世紀に入り、地方政界に進出、2005年、エルパソ市議会議員に初当選以来、市内の疲弊した商店街の再開発、貧困地域における麻薬患者たちの救済事業など、社会の落ちこぼれや弱者の立場に立ったプロジェクトをつぎつぎに立ち上げ、成果を挙げた。その後、再選を果たし、愛称「ベト」の知名度は徐々に広がっていったが、とくに地元有権者の心をつかんだのは、選挙の際に、車やラジオを通じた遊説ではなく、つねに徒歩で住民の自宅やアパートを一軒ずつ訪ね、投票を呼びかけるその熱っぽい手法だった。

 2012年、彼が連邦下院議員選挙に立候補した際もその手法は基本的に変わらず、選挙期間中に自らの足で訪問した家庭は1万6000世帯にも上ったという。こうした努力のかいもあって、投票総数の65%を獲得、共和党対立候補に大差をつけ当選した。その後連邦議員としてワシントンに活動の舞台を移してからも、毎月最低1回は地元に戻り、選挙区の一般市民たちを対象とした「タウン・ミーティング」を開催、グラスルーツの支持層拡大に努めてきた。

 ただこの間、中央政界での仕事ぶりがマスコミで話題になることはあまりなかった。

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