李登輝が考える「日本」と「中国」の決定的な違い

李登輝が考える「日本」と「中国」の決定的な違い

2007年5月、日本を訪れ「奥の細道」を散策した李登輝元総統(写真:ロイター/アフロ)

『武士道』に代表される日本人の精神性と最も対照的なのが、中国の『論語』だと李登輝さんは言います。唯一の日本人秘書である早川友久さんが、その意味を解説します。

 私が台湾を初めて訪れ、文字通り「ハマって」しまった頃に読んだ本に、漫画家の小林よしのりが描いた『台湾論』がある。2002年ごろのことだ。この漫画のなかに、もちろん李登輝も登場するのだが、そのなかで忘れられないセリフがある。

 李登輝はインタビューに訪れた小林にいう。

「あの当時の日本が、理想的な日本人を作ろうとして、作り上げたのがこの李登輝という人間なんだ」

 総統として台湾の民主化を成し遂げた人物が、臆面もなく断言することに衝撃を受けたのだ。

■「公」と「私」の区別

 それから十年あまり、まさか自分がその人物のそばで働くことになるとは露ほども思わなかったが、近くで見る李登輝の精神はまさに日本人以上のものだと改めて感じるようになった。そばで見ていて、李登輝が最も厳しく考えているのは「公」と「私」の区別だ。象徴的なのが、李登輝が銀行に口座を持っていないことだ。

「自分はお金のやり取りに一切タッチしない」ということで、いつしか口座はすべて閉じてしまった。原稿料や講演料は、李登輝基金会の口座へ振り込まれる。

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