土と炎の芸術――備前焼に魅せられて

土と炎の芸術――備前焼に魅せられて

金重陶陽 《備前耳付水指》 昭和33年(1958)
東京国立近代美術館蔵

釉薬を施さず、土をそのままに焼成する備前焼は、「土と炎の芸術」といわれる。岡山県備前市伊部(いんべ)地域を中心に作られ、素朴な味わいのやきものとして愛好されてきた。東京国立近代美術館工芸館で、備前焼の魅力を探る展覧会が開かれる。

 本展では、古備前から現代の作品まで約130点を3つの章に分けて展観。薪窯(まきがま)での焼成によって生まれる肌色の変化「窯変(ようへん)」など、備前焼ならではの見どころも含め、その歴史を解き明かしていく。

 第1章では、茶人が好んだ古備前の名品を展示。中世以降、壺、甕(かめ)、すり鉢などが中心だった備前焼だが、桃山時代には優れた茶器が生まれて脚光を浴びた。こうした茶の湯のうつわとともに生活雑器も紹介、備前焼の源流に触れる。

 第2章では、備前焼で初めて人間国宝となった金重陶陽(かねしげとうよう)をはじめ、近代の陶芸家とその作品にスポットを当てる。陶陽に師事した藤原啓、その息子の藤原雄、陶陽の弟の金重素山(そざん)など、古備前を継承しつつ、備前焼の新境地を切り開いた作家たちの足跡をたどる。

 そして第3章では、巨大窯での作陶に取り組む森陶岳(とうがく)、創作的な細工物で知られる島村光といった現代作家の作品を通して、新たな備前焼の可能性に出会える。

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