永遠の青春を走る――失敗を恐れず、ハンディを力に変えて

永遠の青春を走る――失敗を恐れず、ハンディを力に変えて

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と、聞き覚えのあるちょっとしゃがれた声が間仕切りの奥から聞こえてきた。覗き込むと、そこに安藤の姿があった。玄関から入って1秒、わずか2、3歩の場所がボスのスペースなのかと、度肝を抜かれる。民間企業でも公的機関でも、組織のトップはおおむね上階の立派な壁とドアに囲まれた部屋にいる。が、安藤の居場所には壁もなければドアもない。5階まで吹き抜けだから天井すらない。「おーい」と呼べば全員に声が届くのだ。

 「すぐ行くから、先に4階に上がってて」

 見上げると4階の打ち合わせスペースが見える。エレベーターなどない。階段の途中で真っ赤なボクシングのグローブが目に飛び込んできた。壁面はすべて本棚で、建築関係の書物はもちろん、美術書、哲学書などあらゆる分野の本が混在している。

 やっとの思いで4階に辿り着くと、安藤は軽やかに上がってくる。2度の大病で死線をさまよった77歳とは到底思えない。翌週はミラノ、そしてパリ、さらに北京と世界を飛び回り、スケジュール帳は真っ黒。現在抱えている海外のプロジェクトは35件ほど、国内は15件とか。その元気さにまたもや度肝を抜かれる。

 2009年に胆嚢、胆管、十二指腸に癌が発見され、それらを全摘。驚異の回復力で完全復活したものの、5年後に再び膵臓に癌が見つかり、膵臓と脾臓を全摘している。

 「膵臓も脾臓もとって生きていけるかと先生に聞いたら、生きてる人はいるけど元気な人はいませんねと。それなら元気になったろか、ギネスに挑戦や思った。人生いろいろ問題が起こるけど、超えなきゃいかん。失敗なんか恐れずに生きないと」

続きは WEDGE Infinity で

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