Brexit「合意なき離脱」という崖っぷち

Brexit「合意なき離脱」という崖っぷち

(Meilun/Merfin/Dualororua/iStock)

メイ首相がEUとの間で昨年11月に合意したEU離脱協定案は、1月15日の英下院における採決で、歴史的大差をもって否決された。これを受け、1月29日に英下院はメイの方針に対する修正案7本について採決が行われた。その結果、メイの案の中で最も不評であった北アイルランド国境の管理に関する規定(バックストップ条項)を変更する動議が可決され、メイ首相は離脱協定案をEUと再交渉することになった。バックストップ条項というのは、北アイルランドとアイルランドとの間の国境が「ハード」なものとなるリスクを避けるため、2020年末までの移行期間中に英EU間で包括的な通商協定等の対策がまとまらなかった場合、英国全体がEUの関税同盟に残るというものである。

 1月29日の採決で可決されたのは7本中2本であるが、そのうち一本が保守党のグレアム・ブレイディーの提案によるもので、その趣旨は、「バックストップ条項」を「別の取り極め」に置き換えることを求めるものである。賛成317(うち保守党:297、DUP(北アイルランド統一民主党):10)、反対301(うち労働党:239)で可決された。下院での審議と投票に先立ち、メイ首相は「唯一可能な合意」であり再交渉はしないと言っていた離脱協定の再交渉をEUに求め、バックストップ条項の変更を求める方針を閣議で表明した。その上で、メイは保守党にブレイディーの修正案を支持するよう要請した。

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