ボスニア・ヘルツェゴヴィナの海岸線はどうして世界で一番短いのか?



■ボスニア・ヘルツェゴヴィナの唯一の港町は優雅なリゾート

 ボスニア・ヘルツェゴヴィナへの入国審査を終えて複雑に入り組んだ海岸を見下ろす山道を登る。午後3時頃アドリア海の入り江のネウムという小さな町に到着。グーグルでチェックすると10キロ足らずの海岸線がボスニア・ヘルツェゴヴィナ領である。ネウムから海岸線を数キロ北上すると再びクロアチア領である。

 スマホでチェックすると、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの海岸線はモナコ公国に次いで世界で二番目に短い海岸線であるという。しかしモナコの海岸線は比較的直線的であるがネウム付近の海岸線は入り江が複雑に連続しており、実質的に直線距離で比較するとボスニア・ヘルツェゴヴィナの海岸線が“世界一短い海岸線”といえるのではないか。

 ボスニア・ヘルツェゴヴィナの唯一の港町であるネウムは漁船とヨットが停泊しているだけの瀟洒なホテルが並ぶリゾートである。それはボスニア・ヘルツェゴヴィナには経済活動を支える海への出口がないという悲しい現実でもある。

■世界一短い海岸線は複雑な歴史の産物

 ディナルアルプス山脈とアドリア海に挟まれた細長い海岸地帯であるダルマチア地方は18世紀にはベネチア共和国領であった。ダルマチア地方には当時からローマ・カトリック教徒のクロアチア人が住んでいた。

 当時オスマン帝国がバルカン半島への支配を拡大しており、都市国家ドゥブロブニクはオスマン領となった。ベネチア共和国はドゥブロブニクの西北に位置する町ネウムを緩衝地帯としてオスマン帝国に割譲した。その複雑な歴史的経緯からネウムの町はボスニア・ヘルツェゴビナ領となったのだ。

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