東芝メモリ売却劇、外為法違反適用は「愚策」

 東芝メモリの売却に大きな影響を及ぼしているのが、日本政府が持ち出してきた外為法である。本稿では、外為法が、東芝や東芝メモリにとって何をもたらすかを論じる。結論から言えば、外為法は、東芝メモリにとっても、東芝にとっても、良いことは何一つない、無意味な愚策である。

■2月中旬以降、風向きが変わった

 東芝メモリの買収を巡っては当初、日本政府は無関心だった。例えば、世耕弘成経産相は1月20日、「経産省として(東芝に対する)支援策など対応を検討していない」と述べた(ロイター1月20日)。

 ところが、2月17日には、「(東芝メモリの技術は)わが国が保持していかなければならない技術で、雇用が維持されていくことも重要だ」と前言を撤回するような発言をした(産経新聞2月17日)。

 そして、とうとう3月23日には、菅義偉官房長官が「(東芝メモリは)グローバルに見ても高い競争力があり、雇用維持に極めて重要。情報セキュリティーの観点からも重要性が増す」と発言した。

 そして同日、日本政府は、「中国、台湾、韓国企業による買収は、外為法違反として許可しない」という方針を打ち出した(日経新聞3月23日)。

■外為法とは何か

 外為法とは、日本や国際社会の平和・安全を維持するために、特定の貨物の輸出入、特定の国・地域を仕向地とする貨物の輸出などを制限する法律である。

 過去の事例としては、1987年に起きた東芝機械ココム違反事件が良く知られている。

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