東芝メモリの売却価格、2兆円では安すぎる

東芝メモリの売却価格、2兆円では安すぎる

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 東芝メモリの1次入札が行われた3月29日、東芝の綱川智社長は報道関係者とアナリスト向けの会見で、東芝メモリの売却額について「少なくとも2兆円」と発言した。

 これは、大失言だった。

 まだ5月中旬の2次入札を控えているときに、東芝の社長ともあろうものが、軽々しく売却額を口にしてはならなかった。しかもその額は、あまりにも安い値段だった。

 覆水盆に返らず。一度、社長の口から出てしまった発言内容は、もはや撤回できない。東芝メモリの売却額は、2兆円というあまりにも安い価格を基準として、2次入札が行われることになる。

 本稿では、まず、2兆円が安すぎると考える根拠を述べる。次に、なぜ、そのような安値になってしまったのかを分析する。

■アナリストが言いだした1.5〜2兆円の売却額

 東芝メモリの売却額は、綱川社長が上記会見で発言するより随分前から、「1.5〜2兆円」と言われていた。一体誰が言い出したのかと、日経新聞を過去に遡って調べてみると、1月22日の『出資比率・期限・市況…東芝半導体、出資にハードル』という記事に、(東芝の半導体メモリ事業の価値は)「少なくとも1兆5000億円は下らない」(証券アナリスト)という記述が見つかった。筆者の知る限りでは、この後、「1.5〜2兆円」という価格が世間に定着していったように思う。

 この売却額について、元東芝の半導体技術者で現在はTech Trend Analysisの代表を務めている筆者の知人の有門経敏氏は、「安すぎるのではないか?」と指摘した。

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