まっすぐな経糸の遊び―現代に生きる小倉織を世界へ

まっすぐな経糸の遊び―現代に生きる小倉織を世界へ

築城の作品。上から小倉織木綿縞「梅薫」「奔流(ほんりゅう)」「月の舟」

 古くから生い茂る木々に囲まれ、徹夜仕事の築城を悩ませるイノシシも生息している場所。通うのにも不便なここを選んだ築城の心に思いを馳せていると、目の前に、「梅薫(ばいくん)」と名付けられた薄紅色とベージュ、薄い茶色の縞模様の布を広げてくれた。

 「梅の枝で染めた木綿糸で織ったものです。薄紅色は花が咲く前の枝を煮出して染めたもの。花を咲かせるための色素を溜めているからこの色に染まる。花が終わった後の枝で染めるとベージュや茶色に近い色になるんです。全く同じ色をもう一度作ることはできない。草木染めは一期一会の色なんです」

 木綿糸は絹糸よりも染まりにくい。何度も染め重ねていかなければならないから絹糸の数倍の時間を要する。木綿が染まりやすいのは藍だけだという。簡単に染まろうとしない木綿の頑固さは布の特徴にも表れているようで、ふと糸に人間性を感じたりしてしまう。

 「でもね、染まり方が遅いから何段階も染め重ねていく過程で中間の色がたくさんできていく。色が多ければ多いほど表現が広がりますから」

続きは WEDGE Infinity で

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