希代の彫刻家が目指した表現の極みとは

希代の彫刻家が目指した表現の極みとは

アルベルト・ジャコメッティ 《歩く男T》 1960年 ブロンズ マルグリット&エメ・マーグ財団美術館蔵、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

 線のように細長く引き伸ばされた人物像など、独特な造形で知られる20世紀を代表する彫刻家、アルベルト・ジャコメッティ。このたび世界3大ジャコメッティ・コレクションに名を連ねる南仏のマーグ財団美術館の所蔵作品を中心に、国内で11年ぶりとなる大回顧展が開かれる。

 1901年、スイスに生まれたジャコメッティは、20歳でパリに出て、新たな芸術の潮流だったキュビスムやシュルレアリスムの影響を受けた作品を発表。その後モデルと向き合う制作スタイルのなかで、代名詞となった細長い彫像を生み出していった。

 本展には、初期から晩年までの彫刻約50点をはじめ、油彩や素描、版画など、約135点におよぶ作品が集結。各時代の代表作を通して、ジャコメッティの創作活動の軌跡をたどることができる。

 見どころの一つが、ニューヨークのチェース・マンハッタン銀行の依頼で制作された「歩く男T」「女性立像U」「大きな頭部」の3点の大作。「3人の男のグループ(3人の歩く男たち)」などの複数の人物を配した彫刻も圧巻だ。

 虚飾をそぎ落とし人間の存在の本質に迫ろうとした結果得られたという、細長い人物の造形。彫刻家、ジャコメッティの挑戦に思いを馳せてみたい。

*情報は2017年4月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2017年6月号より

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