アルゼンチンで繰り返される新自由主義とポピュリズム

アルゼンチンで繰り返される新自由主義とポピュリズム

(iStock)

 海外の進出先を決めるには、経済、法律、インフラ、市場規模、為替などを調査することはもちろんだが、もっと大切で死活的な4要素がある。1.人は親切か? 2.民族問題が苛烈ではないか? 3.土地との絆はあるか? 4.国や地域の出自はどうか? 

 親切ということは他者を受け入れる余裕を示す。民族問題があれば、労務が複雑化するし、ひいては国が不安定になる。土地との絆、出自はひとことでは言い難い。アルゼンチンをケーススタディしてみる。

■焼肉

 「アルゼンチンじゃ、ヨーロッパに子供を売っているんだよ。白人ばかしだから子供のいない夫婦の養子にはぴったりってわけさ」

 アンデスの山間の街サルタ出身のアレハンドロとは、ボリビアのポトシで出会い、4200メートルの高地をいっしょに歩き回った仲だった。つまり二人は他者ではなく友人になっていた。
何度か招待してくれた彼のアパートは、敵意を剥き出しにしているブエノスアイレスの中のオアシスだった。そして筆者を罵倒したおばさんも、もし知り合えば彼と同じように筆者を扱ってくれるに違いないのである(参照 アルゼンチンサッカーは憎悪の祭典だった)。

 アレハンドロの2LDKの部屋にはブエノスとは無関係なインカの伝説的な初代皇帝マンコカパックの素晴らしい銅画があった。彼は自分たちがヨーロッパ人ではなくラテンアメリカの一員だと気付き始めた一群の若いアルゼンチン人の一人。

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