「インターネット安全法」が映し出す、中国の情報統制強化

「インターネット安全法」が映し出す、中国の情報統制強化

( 写真・XtockImages/iStock/Thinkstock)

 中国では、わが国では考えられないほど国家により個人情報が管理されているが、6月1日施行の「インターネット安全法」は、これをさらに一歩進めようとするものだ。もともと、個人の経歴は中国共産党や公安警察が所管する「档案(とうあん)」(以下、個人情報書類)に記され、当人の移住・転職ごとに移転先の党・機関(以下、国家)に送られる体制である。

 外国人もその対象であり、ひとたび中国に長期滞在すれば、自分の個人情報書類が作成されていると覚悟する必要がある。その一方で、外国のインターネットサービスであるグーグル、フェイスブック等は基本的に利用できないなど情報鎖国状態にある。

 こうした現状を踏まえて今次法律を見ると、第一に注目されるのは、インターネット上の個人情報や、ビジネス活動を通じて企業が得た個人情報の国家管理を明文化したことだ。

 「総則」部分で、「いかなる個人や組織も情報ネットワークを使って、国家の安全や栄誉、利益に危害を与えること、政権や社会主義制度の転覆を扇動すること、国家分裂や国家統一の毀損(きそん)を教唆すること、テロリズムや過激主義を流布すること、民族への憎悪や差別をあおること、暴力やわいせつな情報を流布すること、デマを流して経済や社会の秩序を混乱させること(中略)などを行ってはならない」としていることは国家が何を恐れているのかを示している。

 第二は、広範な義務規定を設けるとともに、官民共同でネットを管理するとしていることだ。

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