しゃにむに進めた本命の昇格、サウジ皇太子交代の背景

 サウジアラビアの皇太子にムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(31)が昇格することになった。この突然の交代劇は自分が元気なうちに息子を後継者に据えるというサルマン国王(81)のシナリオを実現したものだが、石油大国での若い権力者の誕生は内外に大きな衝撃を与えている。

■次々と打たれた布石

 今回の人事は、国王が提案した王位継承や新皇太子を決定する組織「忠誠委員会」の支持を受け、解任された国王の甥、ムハンマド・ビン・ナエフ皇太子(内相)も支持したとされる。しかし唐突感は免れず、内外には驚きの声が広がった。だが、2015年1月のサルマン国王の就任以降の動きを子細に検証すると、息子のムハンマド副皇太子を後継者とする布石が次々と打たれていたことが分かる。

 国王は同年4月、当時の皇太子だった異母弟のムクリン王子を更迭し、甥のムハンマド副皇太子と交代させた。そして副皇太子に息子のムハンマド国防相(新皇太子)を就けた。この時点から国王はムハンマド皇太子を排除して、息子を皇太子にするつもりではないか、との憶測を呼んでいた。

 その後、ムハンマド副皇太子は国防相の肩書きを持ったまま、国営石油会社サウジ・アラムコを統括する最高評議会議長などの要職に就き、国王の訪米に同行。ホワイトハウスでのオバマ大統領(当時)との会談で、外交的な慣例を破って米国の外交政策を批判するなど率直な言動が注目を浴びた。

 この訪米以降から副皇太子が内外政策を牛耳り始め、隣国イエメンへの軍事介入を主導。

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