分断されたグローバル社会を生きるための想像力

分断されたグローバル社会を生きるための想像力

『分断と対話の社会学:グローバル社会を生きるための想像力』(塩原良和、慶應義塾大学出版会)

 トランプ政権への支持をめぐるアメリカ国内の状況や、日本におけるマイノリティ市民へのヘイトスピーチなどを見ていると、分断されたこの社会の一端を垣間見ることができる。果たして我々はどんな社会を生きているのか。そうした疑問に対し、社会学を用いて1つの見方を示してくれるのが『分断と対話の社会学 グローバル社会を生きるための想像力』(慶應義塾大学出版会)だ。今回、この本を執筆した慶應義塾大学・塩原良和法学部教授に「グローバリゼーション」やそれによって引き起こされた「分断」、「対話」や「想像力」の重要性などについて話を聞いた。

――国内外問わず、先進各国で「分断」が叫ばれています。本書のタイトルにある「分断」や「対話」、「想像力」は現状のキーワードということでしょうか?

塩原:本書の元となったのは、私が勤務先の大学で開講している「社会学」や「社会変動論」の講義です。そこでは「対話」や「共生」という言葉は前々からキーワードになっていましたが、「想像力」の重要性について考え始めたのは比較的最近です。

 きっかけは、「越境社会」をテーマにした学際的な研究会を人文社会系の若手・中堅研究者と2014年に立ち上げたことです。そこでは、「越境」という概念で現代を読み解くことの有効性や、越境することで得られる、自分とは異なる人々やその人たちが生きる現実への想像力の重要性を議論しました。

 越境するということは、そもそも私たちの生きる社会に境界線が張り巡らされているということです。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)