コカインを取り締まってみた、南米麻薬密売事業の変遷

 5月中旬にベネズエラを出港した漁船がスペインカナリア沖で拿捕された。積み荷は2.4トンのコカイン(末端価格1200億円)だ。昨年には九州で芸能人の兄がベネズエラからコカインを密輸(260グラム=末端価格1300万円)しようとして逮捕された。また、4月末にもドイツで日本人がコカイン(2億8000万円相当)を闇サイトで密売し、逮捕された。

 このようなコカインに絡むニュースを聞くたびに、密売人と会ったペルーの国境の街での出来事が脳裏に鮮やかに浮かび上がってくる。その後もコカインはあれこれと人生の節目につき纏ってきた。

■売人は多国籍 70年代後半

 私は、じりじりと照りつける強烈な陽射しにだらだら汗を流しながら、エクアドルの国境の町ペルーのトゥンベスの広場に立って同宿のブラジル人、ポルトガル人、イタリア娘といっしょに国境警備隊の行進を見ていた。当時ペルーとエクアドルの国境は一発触発の危険に満ち、両国の軍隊が対峙していた。ペルーはクーデターで誕生したモラレス・ベルムーデス(1975-80)の新自由主義・軍事政権の時代である。

 軍の音楽隊が国歌を奏で、ペルー人たちはするするとのぼってゆく国旗に向かって敬礼をした。私は旅の友人たちと、へらへら笑いながら、それを見ていた。その不敬な態度がマシンガンを持つ兵士たちの目にとまった。つかつかと3人の兵士が無表情でこちらのほうへ歩いてくる。いやな感じである。

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