ブラジル大統領に汚職疑惑、世界一の肉屋兄弟が放った「大爆弾」

ブラジル大統領に汚職疑惑、世界一の肉屋兄弟が放った「大爆弾」

(写真・ JuFagundes/iStock/Thinkstock)

 ブラジルと言えば肉の国。鉄の串に刺した肉を炭火でじっくり焼く名物料理、シュラスコが思い浮かぶ。そんな肉好きの国でも世界最大の牛肉輸出を誇る食肉加工会社、JBSで社長と役員をつとめる兄弟が、検察に過去の贈賄を一気に暴露し、昨年8月に就任したばかりの現職、テメル大統領に嫌疑が及んだ。

 JBSという社名。1950年代に首都ブラジリアで肉料理店を始めた父親の名が由来で、当初は首都の成長とともに実直にビジネスを広げてきた。だが、息子2人が社主、取締役として活躍する過去10年の成長ぶりは異常で、ライバル企業のみならず他分野の会社の買収を続け、倍々ゲームのように収益を増やしてきた。グループの総収益は2006年、米ドル換算で18億ドル相当だったが、これが16年には460億ドル相当に激増した。

 買収のための資金はブラジル開発銀行など政府系機関からの融資で賄ってきた。その裏で兄弟は、融資取り付けのためせっせと、総勢1829人もの政治家やその候補たちに不正の政治献金をしてきた。

 ところが、JBSは昨年来、開発銀行の不正融資事件の捜査対象にされたのを機に、自らの企業を救うため司法取引に応じ、過去の情報を検察に渡し始めた。

 いざとなったら告発しようと準備していたのか、兄弟は書類だけでなく、政治家への献金場面を映像で、電話のやりとりを録音で大事に残していた。司法当局に渡った情報の中には、テメル大統領の汚職関与を匂わせる録音があり、その内容をオ・グロボ紙が5月17日にスクープし、政権危機報道が一気に加熱した。

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