ISの拠点陥落すれど、新たに生まれる“新首都”

 過激派組織「イスラム国」(IS)のイラクの拠点、モスルの奪還が目前に迫ってきた。しかしモスルがイラク軍に制圧されても問題は解決したわけではない。急がれるのはモスルの治安の回復と破壊された市の再建だが、宗派対立や利権争いが待ち構えており、戦後処理を誤れば、ISの復活という悪夢が現実になりかねない。

■スンニ派との和解がカギ

 イラクは一度、大きな失敗をしている。イラク戦争で侵攻した米軍がサダム・フセイン独裁政権を倒した後、国内は国際テロ組織アルカイダの蜂起で内乱状態に陥った。しかし2007年、米軍の増派とスンニ派部族勢力の協力でアルカイダをほぼ壊滅し、四散させた。このスンニ派部族勢力の協力は「アンバルの覚醒」と呼ばれ、過激派壊滅のモデルとまで言われた。

 だが、独裁政権の後に政権を握った多数派のシーア派政権はそれまでの報復の意図もあって、石油収入を中心とした経済的な利権を独占し、スンニ派を政治の場や国家の意思決定から排除した。スンニ派に対する迫害も日常的に発生し、スンニ派地域と住民の政府に対する不満は高まっていった。

 イラクの勢力は、南部を中心としたシーア派が人口の60%、中央部のスンニ派が20%、そして北部のクルド人が20%というのが概観。スンニ派だったフセイン政権時代には、少数派が多数派を牛耳っていたわけだが、逆に権力を握ったシーア派政権はスンニ派を追いやり、その怒りと不満を放置した。

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