ベストセラー・『サピエンス全史』で気になる「偏った」視点

ベストセラー・『サピエンス全史』で気になる「偏った」視点

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(ユヴァル・ノア・ハラリ 著, 柴田裕之 翻訳、河出書房新社)

 「人類史の常識をくつがえす!」「今世紀最高の必読書!」と、大げさな惹句が帯に踊る。上下巻の大部にもかかわらず、「37万部突破!」ともある。NHKで「大特集」を放送したのだともある。どんなものだろうと、手に取った。

 期待したほどの常識の転覆はなかった、というのが率直な感想である。原著のタイトル「Sapiens(副題 A Brief History of Humankind)」が示すとおり、既知の知見を大掴みし、端的な言葉でわかりやすく説明する、有名塾講師のベストセラー本の趣がある。

■役に立ちそうな「歴史年表」

 ただ、歴史書としては、三つの点で特筆すべきものがあると思った。

 まず、本書の冒頭にある「歴史年表」。人類の歴史のあらましが、ひと目でわかる。これだけでも、学習に役立つ。

 「135億年前、物質とエネルギーが現れる。物理的現象の始まり。原子と分子が現れる。化学的現象の始まり。」という記述から始まる。やがて地球という惑星が形成され、38億年前に生物が出現する。「生物学的現象の始まり」である。

 250万年前にいたってようやく、「アフリカでホモ(ヒト)属が進化する」。その後、異なる人類種が進化するなか、本書の”主人公”であるホモ・サピエンスが東アフリカに登場するのは、20万年前である。

 7万年前に虚構の言語が現れ、認知革命が起こる。これが、「歴史的現象の始まり」である。

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