パックス・アメリカーナ後の世界に生じた「ほつれ」

パックス・アメリカーナ後の世界に生じた「ほつれ」

(iStock.com/ojogabonitoo/DeDron)

 米バード大学のイアン・ブルマ教授が、Project Syndicateのウェブサイトに6月6日付で掲載された論説で、トランプ大統領就任以来、米国を核とした東西の同盟体制にほつれが広がっているが、ロシア、中国が主導権を握った世界では現在の自由は享受できなくなるとして、拙速な同盟解体論を戒めています。要旨は次の通りです。

 戦後、米国が欧州と東アジアに構築した秩序には最近、ほつれが生じてきていた。トランプ政権がパリ議定書離脱を決定したことで、ほつれは一層広がった。

 メルケル首相は、「欧州は米国のリーダーシップにもはや依存することはできない」と公言したが、これはドゴール将軍以来のことである。

 米国を核とした同盟体制「パックス・アメリカーナ」がこうして徐々に終わりを迎えているにしても、我々はもっと冷静でいるべきかもしれない。

 NATOは、「米国を欧州に呼び入れ、ロシアを締め出し、ドイツの再台頭を抑える」ことに目的があった。しかし、現在ではドイツの再台頭を恐れる必要はなく、ソ連崩壊後のロシアをそれほど遠ざける必要があるかについても議論がある。また、トランプが言うように、現在の体制下、欧州と日本は米国の軍事力に依存し過ぎている。

 今の同盟体制のジレンマは、米国がリーダーシップを過早に放棄すれば、米国より悪質な国がその空白に入り込んでくるおそれがある一方、米国主導の体制を続ければ、同盟国は自分の安全にもっと責任を持とうとはしないところにある。

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