イラクはイランの支配下に、モスル解放に激変する中東情勢

イラクはイランの支配下に、モスル解放に激変する中東情勢

(iStock)

 イラクのアバディ首相は過激派組織「イスラム国」(IS)のイラクの拠点、モスルを解放したと表明した。モスルの奪還により、イラクは今後、復興と治安回復を進めるが、国際的には隣国イランの影響力が強まり、「事実上、イランの配下となる」(ベイルート筋)ことが濃厚だ。こうした中、最大の焦点は米軍がIS掃討後もイラクに残留するのかどうかだ。

■大ペルシャの野望

 ISにとってモスルが陥落した後、イラクの支配地はモスルに近いタルアフタル、ハウイジャといった町や、西部アンバル州の村落など一部しか残らない。イラク軍はモスルから対テロ部隊をこうした地域に移動させ、IS残党の一掃を目指す計画だ。これに対してISはシリア領内の砂漠地帯に撤退するなどゲリラ戦とテロ作戦を散発的に続ける以外選択肢がなくなりつつある。領土を失った「カリフ国」は国家としての存在意義を失ってしまうということだ。

 シーア派のアバディ政権はISの残党狩りを進めながら、戦後処理を進めることになるが、結局のところ、イランの意向を尊重しながら国家の再建に取り組むことになるだろう。イラクにとってのイランはそれほど大きな存在になっている。

 イランは2003年の米軍のイラク侵攻後、米軍を攻撃させるためイラクのシーア派武装勢力を訓練、資金と武器援助を与え、イラクにシーア派政権が誕生した後はシーア派の盟主として、その影響力を強めてきた。スンニ派原理主義のISにとって、イランは背教者にして最大の敵。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)