捨てられる銀行―銀行員なら、監督官庁の考えを知っておこう

捨てられる銀行―銀行員なら、監督官庁の考えを知っておこう

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 金融庁の森長官の改革について書かれた本です。金融庁の考え方が理解できるので、地域金融機関の役職員は、一読してみてはいかがでしょうか。内容的には第一章にエッセンスが詰まっていますから、忙しい人は第一章だけでも読んでみましょう。

 内容のエッセンスは、「地域金融機関は、借り手の事業性を評価して(借り手の成長可能性等を分析して)貸すべきで、担保や保証だけを考えて融資の判断をすべきではない」ということに尽きます。

 「地域金融機関は、中小企業に対し、資金を供給するのみならず、継続的に借り手企業の本業を支援し、地域の企業や産業を発展させる事で地域金融機関自体も成長するという両立が必要だ。」といった主張も、なされています。

 しかし、評者には、本書の内容(つまり森長官の基本理念)が、青臭い書正論に感じられます。経済は暖かい心と冷たい頭脳で動いていますが、暖かい心は主に個人レベルで、冷たい頭脳は主に企業レベルで活躍すべきでしょう。企業は慈善団体ではありませんから、基本は自己の利益の追求を目指すものであって、自己の利益より顧客の利益を優先するべきではありません。まして、監督官庁が企業に強制するようなものではない筈です。

 評者を冷たい人間だと誤解されては困ります。評者も個人としては暖かい心を持ち、人並み以上には寄付なども行っています。そのことを御理解いただいた上で、経済学者としての冷たい頭脳の中身を御理解いただければ幸いです。

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