「罰則」は労基法違反の制裁として機能しているのか?

「罰則」は労基法違反の制裁として機能しているのか?

電通本社ビル(christinayan_by_Takahiro_Yanai/iStock)

 広告代理店の株式会社電通が、自社の社員に違法な長時間労働をさせていた事件で、東京区検察庁は7月5日、同社を労働基準法違反の罪で略式起訴しました。これに対して裁判所は、7月12日、略式手続によることを「相当でない」として、正式裁判により審理することを決めました。異例とも報道される今回の裁判所の判断には、どのような意味があるのでしょうか。そもそも、「略式起訴」とは何でしょう。

■刑事事件に発展した労基法違反問題

 まず簡単に振り返ると、今回の事件は、平成27年12月、当時入社1年目だった広告代理店社員が、最大月130時間にも及ぶ長時間残業の末に亡くなったことをきっかけに、社内の長時間労働が明るみに出ることになったものです。

 その後、同社は以前にも是正勧告を受けていたにもかかわらず、社内で違法な長時間労働が常態化しているという疑いが強まり、強制捜査を受けることになりました。この時点で、同社の労働基準法違反の問題は刑事事件に発展したといえます。

 最終的に東京区検察庁の検察官は、社員に労使協定を超えた違法な長時間労働をさせたとして、同社を労働基準法違反の罪により略式手続により起訴をしました。これに対して裁判所は、検察官による起訴自体は受理したうえで、「略式手続による」とした部分を認めず、通常の裁判手続で審理すると判断したものです。

■「略式起訴」とは? 通常の起訴との違いは?

 まず、略式起訴とはどういう手続でしょうか。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)