「つくば」のモデルになったシベリアの町

■AI技術の開発、米マイクロソフトの公式パートナー

 6年半ほど前に数学者たちが立ち上げた「ExpaSoft」はビッグデータの分析、人工知能(AI)のアルゴリズム開発を得意とする企業だ。「仕事の内容は本当に多様。ある電話会社向けには、特定の利用者が競合他社に移りそうかどうかを分析するツールを納品したり、石油の運送会社からは、物流データから業務改善策の提案を求められたりとか。数学の応用で、どんな分析のリクエストにも応えてみせる」。取材に対応した技術管理部長のセルゲイ氏は淡々とそう語る。

 筆者が訪問したときは音や画像のセンサーを使った人物認識システムのテスト中だった。この技術は、例えば住人が帰ってくると玄関を開けるなど、いわゆる「スマートホーム」の設備にも使われる。センサーが出力する数値の変化をどう処理して、いかに効率的に人物を見分けるか。同社の場合、声や顔で人を識別する際、サーバーなどの大がかりな装置を必要とせず、スマホのような小さなデバイスだけで処理できるのが強みだという。

 顧客はロシア国内だけでなく米国、EUにも多いそうだ。となると、客先を回ったり新規の仕事を取ったりするための営業拠点をモスクワあたりに置き、開発チームがシベリアで自分たちの仕事に専念する形が目に浮かぶ。だが、聞けばそうではなく、約30人の従業員は全員がノボシビルスク勤務。仕事は公式パートナーである米マイクロソフトなどから次々と舞い込むため、あえて営業拠点を開く必要がないとのことだ。経済制裁の影響も特に感じられないという。

 創業した数学者たちは地元ノボシビルスク国立大学の卒業生だ。仕事が増えているため後輩にあたる同大新卒者を積極的に雇い入れており、今従業員の平均年齢は25歳程度。なかには大学で教員をやりながら同社に在籍する人もいる。業績は好調で、直近の売り上げ規模は初年度の50倍だという。

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