ISなき後のイラク、シリアはどうなるか

ISなき後のイラク、シリアはどうなるか

(iStock.com/KarpenkovDenis/Smart/asafta)

 英フィナンシャル・タイムズ紙コラムニストのデイビッド・ガードナーが、6月29日付け同紙に「イスラム国の影響が弱まる中、イラクとシリアは更なる不安定に直面している。連邦主義は中東で失敗してきたかもしれないが、平和は協力に依存している」との論説を寄せ、IS後のシリア、イラク情勢の見通しを論じています。論旨は、次の通りです。

 ISは、イラクのモスルを失い、シリアのラッカを失いつつあり、「原始的国家」としては破壊されつつある。2003年の米国によるイラク攻撃と、2011年以来のシリア内戦で空洞化した国家においてISは育ったが、彼らのシリア、イラクからの退場は新しい真空を作り出す。

 主たる外部勢力、ロシア、イラン、米、トルコは、その中で地歩を築こうとし、争っている。シリアとイラクが将来どうなるべきか。

 サダム・フセイン後の占領下イラクでは、多数派シーア派と少数派スンニ派とクルドの権力分有の連邦モデルが採用されたが、スンニ派による内戦、シーア派の宗派主義、クルドの冷淡さが連邦主義を失敗させた。シリアでもアサドの中央集権主義は失敗した。

 アサド政権は、地方分権を拒否しているが、同政権は少数派であり、シリア全土を取り戻し統治するのは人員不足で無理である。今はロシアとイランの支援で勢いづいているだけである。

 ロシアは地方分権化したシリアのための憲法青写真を作った。シーア派民兵、アサドの顧問さえも、アッシリア・キリスト教徒やヤジディ教徒などに自治を認めるなど、地方の条件を尊重しないと、シリアとイラクの大きな地域をまとめて、統治するのは難しいと認めつつある。

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