「不審者に気をつけて」で子どもを狙う犯罪は防げない

「不審者に気をつけて」で子どもを狙う犯罪は防げない

『写真でわかる世界の防犯 ――遺跡・デザイン・まちづくり』(小宮信夫、小学館)

■犯罪動機+機会で犯罪が発生する

――日本でよく知られているのは、犯罪者の動機から防犯を考える「犯罪原因論」。世界ではよく知られている「犯罪機会論」が日本では知られていないと小宮先生は仰います。

小宮:海外では犯罪学について「犯罪原因論」(以下、原因論)と「犯罪機会論」(以下、機会論)、それぞれ半数ずつくらい研究者がいます。日本では機会論の研究者は少ないですね。

――動機があるから犯罪が起こる。それではその動機を研究して対策を立てようというのが原因論。機会論は?

小宮:動機があれば直線的に犯罪発生につながると考えている人がほとんどかもしれませんが実際はそうではなくて、動機を持っている人が犯罪の機会に巡り合ったときに犯罪が起こります。それならその機会を減らしていこうというのが機会論です。

 よく例に出すのが冬によく起きる静電気です。人の体の中には静電気がある。静電気は、金属類に触ることで火花放電する。金属類に触らなければビリっとなりません。機会論で言うと、体の中の静電気が動機、金属類が機会です。

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機会論の実践の具体例が、『写真でわかる世界の防犯』ではわかりやすく紹介されている。たとえば、公園の遊具は一か所に集め、さりげなく周囲をフェンスで囲むことで「入りにくい場所」にする。また、遊具の近くにベンチを設置しなかったり、逆側に向けて設置したりすることで、「接触や物色」をやりにくくしている。

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