労働力不足時代には最低賃金の引き上げが合理的

労働力不足時代には最低賃金の引き上げが合理的

(VectorStory/iStock)

 前回、『弱者保護が弱者を困らせる可能性を考える』を掲載した際、「最低賃金制度については、他の弱者保護よりは考えることが多そうです」と記しました。そこで今回は、最低賃金制度について考えてみましょう。

■一般論として、最低賃金制度は失業を増やす

 最低賃金制度ができる前、安い賃金でも働きたい人と安い賃金で雇いたい会社が合意して雇用契約が結ばれていたとします。そうした時に最低賃金制度が出来ると、安い賃金でも満足して働いている人が、「残念だが、今後は雇えない」と言われて、失業してしまうかもしれません。

 「安い給料でこき使われる可哀想な労働者を保護してあげよう」という暖かい心で作った制度が、むしろ弱者を困らせることになりかねないわけです。文字通りの意味で「情けは弱者のためならず」というわけですね(笑)。

 ここまでは前回の復習ですが、最低賃金制度については、それほど単純な話ではありません。第一に、労働者階級全体としてプラスの効果があるならば、悪法とは言えないからです。

■本当に可哀想な人は生活保護で救うという選択肢も

 労働者階級全体への影響がプラスか否かは、労働市場の需要曲線と供給曲線の傾きによって決まります。場合によっては、大幅に賃金が上昇する一方で失業者は少ししか増えない、という場合もあります。数値例で考えてみましょう。

 時給1000円なら働きたい人が10人、雇いたい会社が6社(1社あたり1人。

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