欧州における「トランプの意外な効用」?

欧州における「トランプの意外な効用」?

(iStock.com/leremy/ATINAT_FEI/jericho667)

 米ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が、Project Syndicateのサイトに7月6日付けで掲載された論説において、「トランプにも効用あり」という逆説を欧州に適用して分析しています。論説の要旨は次の通りです。

 最近フランスのある会議で何人もの欧州人が、トランプは結局のところ欧州にとって悪くないかもしれないと言って、米国の参加者を驚かせた。彼らの言い分が正しいかどうかチェックしてみよう。

 ほとんどの点において、トランプ大統領は欧州にとってひどいことになっている。トランプは、EUを嫌っているようであり、メルケル首相よりエルドアン大統領、プーチン大統領との方が馬が合うようであるし、英国のEU離脱を歓迎している。NATOの第5条(集団防衛の義務)についても、なかなか再確認しようとしなかった。欧州では支持する者の多い気候変動に関するパリ協定からは離脱し、いくつかの国連機関への拠出も削減した。トランプ大統領は個人的にも、欧州での支持率が低い。

 しかし、この不人気――反米ではなく反トランプ――が、欧州の価値観に梃入れをする効果を生んでいる。ナショナリズムとポピュリズムの合わさった最近の風潮は、トランプが選ばれた時が最高潮で、以後ポピュリスト政治家はオーストリア、オランダ、フランスで敗退している。EUからの脱退を強硬に主張したメイ首相も、総選挙で多数派を失った。

 欧州の経済成長は未だ弱く、失業率も高く、2008年金融危機以来激化した国内の政治的対立も続いている。

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