葬式代が後見人の自腹はおかしい【ある後見人の手記(5)】

葬式代が後見人の自腹はおかしい【ある後見人の手記(5)】

ハーネスト唐崎から見下ろした景色

 2010年8月、私は共同通信社大阪支社から大津支局長として転勤し、妻の容子を東京から呼び寄せ夫婦で暮らす日々を取り戻した。「伯母さんを、もっと良い施設に移してあげよう」と言いだしたのは容子である。私はむしろ「気持ちは分かるが、これ以上負担を増やしたら、私の心身がもたない」と消極的だった。「私が探すから」と容子。

 大津市の比叡山のふもと、琵琶湖を望む高台にある有料老人ホーム「ハーネスト唐崎」を、妻は11年5月、友人を頼りに見つけてくれた。ハーネストを運営する医療法人社団「あかつき会」理事長の武田克彦医師夫妻が、老人保健施設を訪れ、受け入れるか否かの面接に臨むと、ユニホームであるピンクのジャージー姿の由利子は、武田夫人の直美理事を見て「きれいな服着れてええなあ」と羨ましがったそうだ。事はうまく進み神戸家裁の認可も得て、11年6月3日には、私たち夫婦ともども介護タクシーで有馬の奥から、ハーネストへと移動した。伯母にとっては心地よいドライブだったようだ。

 新居のハーネストは緑の田園に囲まれ、1階広間は日だまりとなり、横を走る京阪電車を見下ろす。スタッフの人数も多く、笑みをたたえ、面倒見が良い。由利子は、個室を供され衣服も自由だ。表情も明るくなった。季節ごとに、屋外会食やピクニックなどを催し、私たち夫婦が外出の機会を設ける必要もなくなった。

 ただ、老人保健施設では、賃貸住宅での敷金に当たる入所料は不要で、月額利用料は最高でも14万円余だったが、ハーネストは入所料380万円で、月々20数万円から30万円台を要した。

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