阪神藤浪に読ませたい『ペドロ・マルティネス自伝』

 かつては内角を突いて打者をのけぞらせてケロリとしていた投手が、いまや外角だけで打ち取ろうとコーナーの片隅へ怖々ボールを置きにいっている。年齢を重ねて往年の球威を失い、引退目前のベテランならまだしも、若くしてすっかり弱気になってしまった投手の姿は見るからに痛々しい。今季で言えば、阪神の藤浪晋太郎がその最たる例だ。

 プロ5年目の藤浪は11試合に登板して3勝5敗、防御率4・12。5月4日のヤクルト戦以来勝ち星から見離され、4度も二軍落ちさせられた。二軍での登板は見ていないが、知り合いのトラ番記者に聞くと、自分の胸元を指して「こっち(インサイド)を全然攻めようとせん。外ばっかりですわ。あんな投球では勝たれへん」と渋い顔で教えてくれた。

 私がじっくり藤浪の投球を見る機会に恵まれたのは8月27日、東京ドームでの巨人戦だった。150q台の真っ直ぐと曲がりの大きなスライダーを使い分け、六回までは2安打無失点1四球とまずまず。それが、100球を超えた七回、1死から村田修一に与えた死球を境に突如崩れ始める。続く亀井善行にタイムリー二塁打を打たれて1点を失い、さらに長野久義の打席で暴投して亀井が三進。捕手の坂本誠志郎がホームベースより外に構えているのに、すっぽ抜けたスライダーが長野の顔付近に飛んでいったほど。結局、6回3分の1、3安打3失点で負け投手である。

 9月5日、マツダスタジアムでの広島戦も目を覆わんばかり。

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