韓国映画『タクシー運転手』の大ヒットで浮上した歴史論争

 韓国映画『タクシー運転手』が、韓国国内で注目を集めている。1980年5月に起きた「光州事件」を背景とした、実話に基づいて作られた映画だ。9月18日現在、1215万名の観客を動員し、今年最大のヒット作となった。

 光州事件とは朴正煕元大統領が暗殺(1979年10月26日)された後の混乱期に韓国南西部に位置する光州というところで起きた事件だ。市民デモ隊と軍が衝突し、市民164人、軍人23人、警察4人が死亡した悲劇的な事件だ。韓国内ではこの事件を軍事政権下であった80年代には市民たちが起こした「暴動」として取り扱ってきたが、民主化後には事件に対する評価が見直され、現在は「光州民主化運動」と呼ばれている。さらに事件の犠牲者たちとその遺族たちは民主化の功労者として認められ、国家から補償金の給付、医療費、交通費、光熱費の補助、税金免除、就職や就学時の加算点の付与など、厚遇を受けている。

 映画『タクシー運転手』のあらすじは次のようなものだ。ドイツマスコミの日本駐在記者であったユルゲン・ヒンツペーター(J?rgen Hinzpeter 1937〜2016)は光州で動乱が起きているという情報を聞きつけ、現地へと向かった。1980年5月19日に金浦空港へ到着。ここで、たまたま彼を乗せたタクシーの運転手がこの映画の主人公だ。ユルゲン・ヒンツペーターを乗せたタクシー運転手は光州へと向かった。言語的な意思疎通は十分にはできなかったが、数日に渡り行動を共にする中で徐々に信頼関係が築き上げられていく。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)