「数字では語れない3月11日」あの日からどう生きてきたのか

「数字では語れない3月11日」あの日からどう生きてきたのか

『リスクと生きる、死者と生きる』(石戸諭、亜紀書房)

 東日本大震災とそれに続く福島原発事故について、東京電力や政府の対応について目を奪われがちだ。そうした視点ではなく、震災から今日まで人々はどう生き、何を感じ、どう語るのか――。『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)を上梓したBuzzFeed Japan記者、石戸諭氏に話を聞いた。

――東日本大震災に関連したさまざまな方々の語りが、本書の大部分を占めています。震災時は毎日新聞の記者、現在はBuzzFeedの記者ですが、いわゆるジャーナリストが描くような、たとえば「原発事故の核心に迫った」という作品とは違うなという感想です。一言で言うと、どんな本でしょうか?

石戸:全体としては「数字では語れないあの日の出来事」がコンセプトですね。どうしても「何人が亡くなった」「放射線量が基準値を超えた」といった数字が震災報道では中心になりやすい。そういったいわゆる「震災もの」と言われるジャーナリズムからは溢れ出てしまう、こぼれ落ちてしまうところに僕の関心はありました。渦中にいた人たちが、どんなことを経験し、どんなことを語るのかを知りたかった。そうして一人ひとりに接近して、話を聞いて、言語化しないと結局よくわからないと思ったんです。

 この本に登場する人たちは決して特別な人たちではなく、読者と地続きにいる人たちなんだろうと思います。

 被災者、被災地という言葉で括られると、深い溝があるように感じられますが、あの日、2011年3月11日に地震や津波が突然起き、原発事故まで発生したことで、それまで当たり前だと思っていたことが、突然当たり前ではなくなってしまった。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)